大分県の名所・旧跡・史跡のブログ

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枯鉾天満神社の庚申塔(日出町)

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 日出町大字大神は北大神と大字藤原の境界付近に、枯鉾天満神社がございます。場所の詳細は、「藤原の名所めぐりその1」の記事をご覧ください。その境内の庚申塔を紹介します。

 

 枯鉾天満神社は道路端にあって、ごく狭い敷地に拝殿・本殿が建つ小さなお宮です。鳥居もなく、敷地のほとんどが建物で占められています。近隣の方のお世話が続いているのでしょう、いつも清掃が行き届いていますし、田んぼが広がるのどかな風景もよくて、好きな場所です。

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 このように、道路ぎりぎりのところに建っています。駐車場はありません。井手八幡に駐車させていただき、歩いてくるとよいでしょう。

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青面金剛4臂、2童子、3猿

 地衣類の侵蝕により諸像の姿が分かりにくくなっています。でも近寄って見ますと細かい部分までよく残っていますので、苔を剥ぎ取れば昔のままの姿がよみがえることでしょう。まず塔の形状に注目しますと、上部の形状がずいぶん変わっています。上が尖って三角になっている板碑型の庚申塔はときどき見ますが、こちらは頂点に突起がございます。よく笠が落ちてしまった庚申塔にこのような突起がみられますけれども、こちらは突起の両端が三角になっていますから、笠が乗っていたわけでもなさそうです。どのような意図で、この突起をこしらえたのでしょうか。

 主尊は鼻筋の通ったお顔立ちで、すらりとした体型です。細い腕も長くて、全体のシルエットが柳腰と申しますか、優男の雰囲気がございます。童子は体を少しだけ主尊の方に向けて、恭しく仕えている様子がうかがえます。猿も、中央の正面向きの猿に対して、左右の猿が向き合う格好です。突飛さ・珍妙さはないので目立たない塔ですが、細かいところまで丁寧に表現した秀作といえましょう。

 

今回は以上です。大神地区の庚申塔捜しを続けていますが、なかなか思うように行き当たりません。地道に探訪を続けていこうと思います。