大分県の名所・旧跡・史跡のブログ

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キリシタン礼拝所跡と磨崖クルス(三重町)

三重町のキリシタン礼拝所跡を紹介します。

 

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所在地:三重町大字宮野字敷手

座標:33.026754, 131.620624(入口の場所。ここから少し歩きます)

 

 

 国道326号を犬飼から三重方面へ。左手に道の駅三重を見てそのすぐ先、道路右手に「P]の青い標識のある駐車スペースに車を停めます。道路用地の端に擬木の柵が続いていますので、それに沿って今来た方向に少し歩くと、柵が切れている場所があります。そこから少し入ると、文化財の標柱があります。その道を進むのですが、冬場以外は藪になっています。探訪は、11月からせいぜい3月までがよいでしょう。

 しばらく歩くと、ものすごい急坂です。転げ落ちると大怪我をする場所ですので、十分気をつけてください。途中、大きな段差を下るところもあります。ロープが設置されていますが、頼りないのであまり体重をかけない方がよいでしょう。頑張って下ると、道が左に分かれています。落ちないように気を付けると、岩棚に出ます。すると左手に説明があります。

 ここは、潜伏キリシタンの祈りの場であったそうです。ちょうど大野川と台地に挟まれた崖の半ばにあって、下の集落からも上の道からも見えない場所です。信者は密かにここに集まり、お祈りをしたのでしょう。でも、お役人には見つからなかったかもしれませんが、集落の人には知られていたのかもしれません。近隣の人々が全員キリシタンであったとは思えません。知っていても知らないふりをしていた、告げ口をしなかったのではないかなと思います。

 説明によれば、崖に2つの十字架が刻まれているそうです。1つは初めの写真に写っているもので、すぐわかります。もう1つがなかなか見つかりませんでした。

 

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 わかりますか?おそらく、これだと思います。

 難所の道を上り下りして、このような岩棚に祈りの場所、所謂「クルスバ」を求めた潜伏キリシタンはいったい、どんな存在だったのでしょうか。この農村地帯にあっては、昔は手間替えが当たり前で、当然、キリシタン以外の地域住民との交流も盛んにあったはずです。野辺の送りや初盆供養、神社のお祭りその他、キリスト教以外の信仰による祭礼行事が日常生活に浸透していた時代に、地域の共同体にあってはこれらに加わらないわけにはいかなかったでしょう。もし地域共同体の中にキリシタン独自の秘密のつながりがあったとしても、近所の人がそれを知らなかったとは考え難い。国東半島のように寛容であったのか、そうでなかったのか?このような史蹟が破壊されずにたくさん残っていることからおそらく前者であったのではと思いますが、そうであったとしても当事者の心中はさぞ難儀であったであろうと、ささやかな十字架を見るにつけ胸を打つものがありました。