大分県の名所・旧跡・史跡のブログ

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北杵築の名所・文化財 その7(杵築市)

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 久保畑東組の庚申塔を見つけることができましたので、北杵築シリーズの続きを書きます。下記のうち27番「境木の大日堂」につきましてはシリーズ第1回目で紹介しました2番「境木」と同一箇所でありますが、写真を撮り直すことができましたので改めて詳しく説明いたします。

25 芦刈地蔵

26 久保畑東組の庚申塔

27 境木の大日堂

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櫛海越を行く―伊美の名所・文化財その3―(国見町)

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 1月から2回チャレンジして見つけられなかった伊美中須賀組の庚申塔に、先日やっと行き着きました。それで、久しぶりに伊美の名所・文化財を巡るシリーズの続きを書くことにします。今から慈雲寺を振り出しに、パイロット道を上がり櫛海越の旧道を辿っていきます。昔は自動車が上がったパイロット道もみかん園の廃絶により荒れており、徒歩以外は困難です(4駆であれば通れるかもしれません)。集落内に適当な駐車場所がありませんので、近くの「みんなん館」に駐車させていただくのがよいでしょう。

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高野堂(宇佐市)

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 宇佐市麻生地区は谷沿いにいくつもの小集落が点在する農村地帯で、名勝耶馬溪のうち東耶馬溪にあたります。七折八折の山路を辿れば、春は花の曇りに奇岩を塔のおぼろ月、蛍舞う稲田も色青みきて盆は傘鉾、伊呂波川とや色をかさねの綾錦に秋の日長、冬は野仏も寒そうに札所々々の朝ぼらけ。この風情に加えて、麻生には名所旧跡が多々ございます。その中から、今回は高野堂を紹介します。

 こちらは正徳2年にお弘法様が安置されたのが起こりで、寄せ四国の体をなしております。享保10年には高野堂が建立され禅源寺の末寺となり、一時衰退しましたが天明5年に再興し、戦前まで参詣客で非常ににぎわったそうです。その後は長く寂れていましたが平成16年に地域の方々により再整備がなされました。手軽な四国巡拝、またはお花見やトレッキングなど、みなさんにお勧めしたい麻生随一の名所です。

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五無田の弘法霊場(杵築市)

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 八坂地区は大左右(だいそう)部落、字五無田にあります弘法大師霊場を紹介します。

 

○ 大左右の桜並木について

 大左右は生桑(いくわ)の枝郷で、平淵道が現役であった頃は往還から外れて袋小路の土地でありましたが、戦後に県道の新道が開通してからは、国道10号から杵築方面に入る方が盛んに通行されるようになりました。県道と線路が並行し、その間が長い桜並木になっておりまして春先にはお花見ドライブにもってこいの風光明媚な土地でございます。その桜並木はほとんどが吉野桜ですが、その中に確か2本だけだったと思いますが枝垂れ桜もございます。見事な桜並木で杵築名所の一つですが、残念なことにテング巣病により樹勢の衰えが顕著にて、年々景観が損なわれつつあります。どうにか命脈を保ってくれればと願うております。

 

1 五無田の霊場

  こちらは行き方が難しいので詳しく説明します。県道沿いに、交通安全のために設置された偽物のパトカーがあります。その横から線路と反対側に少し上がります(車も通れます)。ほどなく、左側に冒頭の写真の道が分かれます。車を邪魔にならないようにとめて、この道を歩いて上がっていきます。

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 少し行くと、竹林の中の気持ちよい道になります。古いお墓を右に見て、奥に進みます。

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 この分かれ道がいちばん間違いやすいところです。霊場がありそうなのは右方向ですが、これを左にとります。左は広場のようになっていますが、これを突っ切って奥まで行きます。

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 広場の奥です。ここを下りまして、道なりに右方向に行きます。すると畑地にでます。左下の畑に沿うて、右奥に回り込むように進んでいきます。

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 ここまで来たら、右に上がります。案内板などは一切ありません。右側が浅い掘割状に窪んでいるのが目印です。

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 これが弘法霊場への上り口です。竹藪の中に道がありますが、枯れ竹が折れかかったりしていますし足元もよくないので、注意して通ってください。雨降りのあとはやめておいた方がよいでしょう。

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 ほどなく右側に古い石段が見えてきますので、これを上がります。弘法霊場に着きました。
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 あまり広くはないものの、竹林に囲まれた平場が霊場です。

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 お弘法様の祠が2基と、お手水、石燈籠がございます。霊場と申しましても、88か所の写し霊場になっているわけではなくて、この2基の弘法様が全てです。でもそれなりの広場になっており、辻々でよく見かけるお弘法様の祠とは雰囲気が違います。お手水が設置されていることからも、この一帯を聖域としていることがわかります。昔はかなりのお参りがあったのではないでしょうか。人里に近いものの、集落からはやや離れています。このような場所を霊場としたのも何らかの意味があったのでしょうか。今は周りが竹林になっておりますけれども、もしかしたら大昔は竹が疎らで、こちらから大左右の集落を見下ろせたのかもしれません。f:id:tears_of_ruby_grapefruit:20210217033331j:plain

 お弘法様にお参りをして帰ろうとしたら、入口の石段脇の庚申塔が目に入ります。この一帯の作の神としての霊験を期待して、この場所にお祀りをしたのでしょう。または弘法様の霊場にて神聖な場所でありますから、ありがたい庚申様をお祀りするのもこの場所が適当であると考えてのことかもしれません。こちらの庚申塔はずいぶん個性的な像容です。よく見てみましょう。

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青面金剛6臂、2猿、2鶏

 まるで折り紙の兜をかぶったように見える金剛さんは、南洋風のお顔立ちにて〽私のラバさん酋長の娘…なんぞとダグダグ踊りでも踊りそうな雰囲気です。6本の腕の長さがまちまちで、左右対称のポーズが微笑ましいではありませんか。衣紋の裾の表現が風変りです。脚を開いた立ち方にはどっしりとした威厳が感じられ、これまた酋長の風情がございます。童子の姿は見えません。まさに孤高の存在、一人雄々しく悪霊に立ち向かうさまが見てとれまして、さても勇ましい金剛さんでございます。見ざる言わざる聞かざるの猿はヒョロリとしているように見えて、聞かざるの肩幅を見ますとなかなかどうして、がっちりとしています。3匹の猿の股間…どうも雄猿のようです、見間違いかもしれませんが。鶏は胴体のふっくらとした彫りがよくて、見つめ合う2羽の風情が乙でございます。

 こちらの塔は近隣の塔とは一線を画す表現方法にて、個性豊かで素晴らしいと思います。お弘法様の霊場の雰囲気とも相俟って、一層の強い印象が残りました。

西椎屋の滝周辺の名所(院内町・玖珠町)

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 西椎屋(にししや)の滝周辺は「椎屋耶馬溪」のうちにて、断崖絶壁の荒々しい岩山に青葉やもみじの映える景勝地としてその名を馳せてまいりましたが、この地域はすこぶる交通不便でした。ところが近年は西椎屋道路の改良著しく、しかも秋葉様の山あたりの風景を「宇佐のマチュピチュ」として大いに売り出したこともありまして観光の方が盛んに訪れるようになっています。マチュピチュ以外にも名所旧跡・景勝地が数多くございますので、今回はその一部を紹介します。

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朝日の名所めぐり その1~十万地獄の今昔~(別府市)

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 朝日地区は大字鶴見および大字鉄輪(かんなわ)からなります。この地域の初回は、鉄輪温泉にあります十万地獄を紹介します。今回は少し趣向を変えて、手持ちの古い絵葉書と現在の写真の両方を掲載します。両者を比較して、景色の移り変わりを見ていただきたいと思います。

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津房の名所めぐり その1(安心院町)

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 津房地区は安心院盆地にほど近い平地から、天間(あまま)高原に近い丘陵地まで細長い谷筋で、楢本磨崖仏、地獄極楽など数多くの名所旧跡があり、安心院町を観光する際には必ず訪れるべき地域です。今回はこのシリーズの初回ですので、この地区を代表する名所であります東椎屋の滝の紹介からスタートします。

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